2018年04月03日

飲む日焼け止めってどうなんですか？　PartⅡ

関西はお花見のピークも過ぎ、あちらこちらで桜吹雪に遭遇します。
皆さんはお花見は行かれましたか？
私の実家の前のお宅には樹齢50年以上の桜があって、毎年見事に咲いてくれます。
今年もお花見はその桜で終わってしまった
「細胞のデトックス　Sarah」代表の藤山　恭子です。

さて、前回は「飲む日焼け止めってどうなんですか？」でした。
一つの結論として、UV-Bなどを防御する「日焼け止め」にはならないよという事でした。
実際にアメリカの皮膚学会（ADD)では「日焼け止めサプリをサンスクリーン剤や衣類の代替として使用するべきではない」という公式見解を発表しています。
じゃあ全く意味がないの？というとそうではないようです。

まず、今現在日本で「飲む日焼け止め」として売られているサプリの原料は大きく分けて
「フェーンブロック」という成分と
「ニュートロックスサン」の２つに分けられます。

「フェーンブロック」はPolypodium Leucotomos というシダ植物から抽出された成分で、和名で「ダイオウウラボシ抽出エキス」と表記されています。商品としては「ヘリオケア」があります。

一方、「ニュートロックスサン」はシトラスとローズマリーから抽出したエキスが成分で、「シトラス果汁・ローズマリー葉エキス」と書かれています。
こちらの方は「ホワイトヴェール」や「雪肌ドロップ」など様々な商品が売り出されています。

では、まずフェーンブロックに関しての効果はどの様な物があるのでしょう？
まずこのシダ。アメリカ大陸で生息していて、中米では古くから民間療法として喘息や心臓病、皮膚の治療薬として使われてきた物だそうです。

＊Polypodium Leucotomos

フェーンブロックはハーバード大の博士によって約12年前から研究されており、今でもその研究を牽引されているようです。その効能としては
・抗酸化作用
・免疫防御作用
・DNA保護作用
・紅斑（日焼けの赤み）予防
等があげられています。

もともと日焼けをすると人の皮膚にあるDNAやメラニン、アミノ酸は化学変化し、電子を失って活性酸素種やフリーラジカルを発生させます。これらの活性酸素種やフリーラジカルがシミやシワの原因、ひいては皮膚癌の原因になると考えられています。

＊J.Soc.Cosmet.Chem.Jpn47よりお借り
紫外線がDNAにダメージを与える現象を化学記号で示すとこうなるの図

FernblockはUV照射によって起こるフリーラジカルや活性酸素種の発生を抑制してくれる、という研究がなされています。

Fernblock摂取群（体重１kgあたり7.5mg摂取）と対象群に分けて紫外線照射による紅斑発生24時間後に解析。
PLEはin vitro反応で、活性酸素、脂質過酸化反応の発生に関与する光酸化ストレスに対して、興味深い抗酸化特性を示すことが明らかとなった。
– 55% スーパーオキシドアニオン（Gonzalez S, Pathak MA, Photodermatol Photoimmunol Photomed, 1996）　- 10% 一重項酸素
– 50% 脂質過酸化

PLには抗酸化作用が認められた。（Gomes AJ, Lunardi CN, Gonzalez S, Tedesco AC, Braz J Med Biol Res, 2001）
– 31% スーパーオキシドアニオン
– 43% 一重項酸素
＊旭川皮フ形成外科クリニック美容通信よりお借り

これは論文の一部ですが、それぞれの項目について有意な数値があっての結論のようです。

少し乱暴ですが、平た～く言うと紫外線を浴びる事によって赤くなったり、フリーラジカルを含む活性酸素種の発生や免疫細胞やDNAの破損を防御してくれる可能性があるよというのがFernblockの「売り」の様です。

ただ、抗酸化や免疫力アップのサプリって他にも色々あるので、それと比べて特別に効果が高いのかどうかは研究された方がいないので解りません。通常の抗酸化サプリは「日焼け予防」を謳っていないので、というかその方向で研究されていないので、「日焼け予防」という視点で研究をし注目を集めた成分だというのが一番の特徴でしょうか。
注意事項としては、植物なのでやはり「シダ科」にアレルギーのある方は飲めません。あと、妊婦さんや授乳中、妊活中の方も避けた方が良いよいと書かれています。

現在このフェーンブロックを原材料として売られているのは「ヘリオケア」という商品のみです。（多分一部の地域に生息する天然植物が原料で、それをサプリメントに使用するには管理が必要なので大量には作れないのかもしれません。想像ですが）
様々な記事でフェーンブロックを使用したサプリとして違う商品が紹介されていますが、実際にはPLエキスという違うシダ科の植物から摂られた成分のようです。このPLエキスに関しては専門機関の研究データーがなく（今のところ見つからない）その効果や安全性に関しては不明です。

一方、「ニュートロックスサン」は他の会社にも使用許可を出しており、特許料を支払えば使用できるようです。原材料がシトラスとローズマリーという比較的どこにでもある植物なので、特殊なシダで作られるフェーンブロックとは生産量が違うのだと思われます。最近日本で沢山の新しい「日焼け止めサプリ」が発売されているのは、ほぼこのニュートロックスサンが原材料の物です。
ただし、「ヘリオケア」も同様ですがニュートロックスサンを基準値以上使用してるサプリは少し高額になる傾向がありますね。

「ニュートロックスサン」の効能としては
・細胞外の保護
・細胞外マトリックス（コラーゲン）の破壊を防ぐ
・細胞内の保護
・炎症作用の最小化
といった事が上げられています。

HPには研究の結果、１日250mgを85日間摂取し紫外線に対する保護力が56.1％アップしたとあります。
この数字が前回の「飲む日焼け止めってどうなんですか？」で上げた数字のマジックです。MEDが56.1％に上がってもSPFでいうと２くらいの効果。「日焼け止め」としては意味はないよね。という事を書きました。

＊Newtroxsaun　HPより

ただ、白人90人対象に行われた研究で、２ヶ月の結果、日焼けによる赤味を抑えたり、シワの深さを抑える効果が確認されたそうです。
こちらの生データーは検索しても出てこないので、一応そのまま載せておきます。
こちらの成分の売りを（乱暴に）要約すると、紫外線を浴びた時の炎症作用を押さえ、コラーゲンが減るのを防ぎ（シワを防ぐ）、皮膚細胞の保護をする可能性があるよといったところでしょうか？

こちらは様々な商品が出ていますので、原材料メーカーが謳う効果を得るには、MONTELOEDER社が推奨する１日250ｇ以上入っている商品を選ぶ必要があります。
こちらも妊娠中や植物にアレルギーのある方などは避けるように注意されています。商品によって追加されている植物エキスも違う様なので、確認が必要です。
そしてサプリメントですから多少の添加物が入っています。
この添加物に関しては改めて別の記事で書きますね。

長々と「飲む日焼け止めってどうなんですか？」に私なりの考えを書いてきましたが、結論としては
・日焼けを避けたいならば、塗る日焼け止めのSPF、PAの代わりにはならない
・日に焼けた後のダメージ回復もしくは回避には一定の効果はあると思われる
・但し、商品によって原材料や含有量が違うので選択が必要
・使用期間、使用量は規定量を守らないと結果は期待できない
というところでしょうか？
特に紫外線アレルギーやアトピー等の疾患のある方で、日に焼けると大変な状況になる方には試してみるのには良いかもしれません。後はサーフィンやアウトドア、お仕事で常に日に焼ける方とか・・。
くどい様ですが、この日焼け止めサプリを飲んでも日に焼けることは避けられません。あくまでも炎症を抑える効果が一定あるのと、その後の肌のダメージを軽減してくれるという効能です。
但し、同じ効果を求めるのにこれらのサプリがベストかどうかは私にも不明です。誰もそんな研究してないもんね。

抗酸化や細胞のダメージを裂けることは必要ですが、何もこの商品でなくても出来るな～というのと、日常で浴びる生活紫外線のレベルで必要かな？というのが私の結論です。
特別に日に当たる生活をしてる方や疾患を抱えていらっしゃる方でなければ、食生活をきちんとする事や日常のお肌のお手入れでお肌を健康に保つほうがお金をかける意味があるのではないでしょうか？

最近は子供向けの「飲む日焼け止め」も発売されているようですね。ただ、腸壁が完全に出来ていない子供に、ある特定成分のサプリを飲ませるのってどうなの・・・と思ってしまいますが。

サプリメントは食品以上に良い面とリスク面、両方があります。安易に選ぶのだけはやめて欲しいと思います。ましてやメーカーの（安易な）広告を信じて、このサプリ飲んでるから大丈夫！とばかりに無防備に日焼けしたりしないで下さいね。真っ赤になってただれてもメーカーは保障してくれません。そしてシワになってもシミになっても因果関係は全く証明出来ませんので、当然メーカーは保障してくれません。

今回のサプリで私が一番勉強になったのが、メーカーの広告の仕方です。ネットで情報を引っ張ろうとすると、素人の客観的な口コミブログの顔をして、結果アフィリエイトというのがずら～り。そして芸能人やブロガーに無料で配ってSNSで発信させる。今の販売戦略の縮図を見た気がしました。爪の垢煎じて飲まねば・・・。

今回のおまけ